ルネサンス時代のスペイン庶民の間では、ルネサンスギターはラスゲアードの掻き鳴らしの演奏で、理髪師、馬の少年、女性の窓下で歌う若者、従者、ジャグラー、ストリートミュージシャンなどなどが、歌ったり踊ったり跳ねたり踏み鳴らしたりと、かなり活動的に演奏されていた様子が見えてきました。
他方、YouTube動画でルネサンスギターを検索してみると、優雅に、音楽性高く、やや精神的な雰囲気で、かき鳴らして飛んだり跳ねたりという風情はあまりありません。
これにはおそらく二つの要因があって、ひとつは、当時の高水準の作曲家や演奏家の出版楽譜しか残っておらず(特にフランス)、庶民的な演奏は楽譜自体最初からないため再現しようがないということ、二つ目は、現代に古楽を演奏しようという人は専門志向のハイアマチュアかプロであることが多く、一般の音楽愛好家にとっては古楽器にアクセスすること自体容易でないということ、こんな要因が重なって生まれている構図なのではないかと思います。
そこで製作者の私としましては、誰にでも手が届くルネサンスギターの製作、岩田先生の初心者レッスンとの結合、様々な関連情報発信などで物心両面のアクセス性を高めていくと、ひとつ新たな通路が開けて、面白い展開が生まれてくるんじゃないかと、なんとなく期待しているわけです。