作レレ

弦を新鮮な感覚で見直してみる

ここ数日、弦を新鮮な驚きの感覚をもって見直しています。

古楽器奏者の岩田さんから古楽器用のアクイラの弦をもらったことから始まり、お客様からサバレスの弦とダダリオの弦の指定をいただいたりして、たて続けに、これまでとは異なる傾向の弦を一十舎のウクレレに張ってみることとなりました。

その結果いろんなことを思いました。

・まずひとつは、弦によってこんなにも違う響きがあるということ…わかってはいたことですが、あらためて驚きをもって再認識しました。それは、単にいろんな音があるなあという認識に止まらず、弦の個性ある響きに応じて、異なる音世界、音宇宙、音次元があるとでもいうか、新たな音宇宙が創造されるような驚きの感覚でした。

・ふたつめは、楽器の出す響きにもそれぞれ個性があるので、弦の個性と楽器の個性には、合うものと合わないもがあり、合うものの中には様々な組み合わせから生まれる無限のバリエーションの音世界があるということでした。

・三つめは、人はそれぞれ別の音宇宙に住んでいるとでもいうか、理想とする音は全く違っているということ。私の耳には魅力的には思えなかった音が、お客さんの住む音世界に共鳴する気分で再度聞いてみると、ものすごくいい音に聞こえたきたりもして、とても奥が深いのです。

・究極を言えば、弦を決めたら、それに応じた楽器を作らないと、弦と楽器のポテンシャルを発揮できないということ。

・弦の太さや強さにはかなり広いバリエーションがあるので、ある弦でぴったりに音合わせができる楽器が、他の弦では音合わせができないことが珍しくないということ。これはつまり、オクターブ調整の話なのですが、サドルの幅3ミリと高さ2ミリくらいの中で、弦高との兼ね合いも考えながら、サドルを削って調整していくのですが、その削れる範囲内で調整できる限界を超えてしまうことが珍しくないのです。ある弦でぴったりプラスマイナスゼロでオクターブ調整ができていたものが、他の弦に替えたとたんに、特定の弦のオクターブピッチが40セントもずれてしまったりすることも珍しくなく、これは調整の限界値を超えています。ですから、何でもかんでも弦交換できるかというと、厳密に言うと弦交換が適切ではない組み合わせもあるようです。今弦交換が適切でないという言い方をしましたが、これも実は考え方次第で、ウクレレはそこまでオクターブピッチを気にしないような楽器なのだと思えば、それはそれで問題ないとも言えるのです。これも結局は、どのうような音世界に住む人かによって、許容範囲は変わったくるのでしょう。

とまあ、そんなこんなで、何を言ってるのかよくわらないかもしれませんが(私自身も何言ってるのかよくわからないで書いているところがありますが)、弦についてあれこれと、新鮮な驚きをもって、その可能性の大きさと、その限界と、両方を見直しているここ数日なのです。(^^)/